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日本は南北に長い三、〇〇〇キロメートル。背梁山脈が連なる高温・多雨・多湿で、四季の変化がある。山紫水明の国。反面、地震・噴火・津波・台風・豪雨・豪雪が続く災害列島。
梅雨どきがあり、雨の日が多い。だから私たちは水に恵まれていると思っている。たしかに日本の降水量一、八〇〇ミリ(年間)。ところが降水量と蒸発量を差し引いた自然水量は世界平均の二分の一でしかない。幸い日本は大小の河川が多い。ナイル川・ライン川、いずれも複数の国を通る国際河川である。日本には国際河川がないから国同士の水紛争がない。今や世界各地で地球規模の水不足となっていて、国際紛争のタネとなっている。二一世紀は「水の世紀」なのである。
ガソリンがついにP当り一八〇円超となった。みんな「高い、高い。何んとかしろ」と大合唱である。しかし昨年五月の時点の調べでは、世界のガソリンの値段は次の通りだ。
ノルウェー二四三円、オランダ二四〇円、イギリス二二六円、ドイツ二二〇円、お隣り韓国一九九円。今ではきっと大幅に値上がりしてるだろう。それでも日本は安いほうだ。しかもペットボトルの水は五〇〇ccで一一〇円。これでも水のほうがガソリンより高いのである。
日本は石油もない、ウランもない、天然ガスもない。資源エネルギー小国である。それでいてコンビニは二四時間、スーパーは夜遅くまで煌々と照明をつけ、壁面いっぱいの冷蔵庫が稼動している。貨物列車に取って代わった大型トラックが深夜でも轟音をとどろかせ、排気ガスをまき散らし、道路を傷めつけている。巨大なエネルギー消費輸入大国である。
一方で日本は食料自給率三九%、つまり六一%は海外産の食料を喰べている。国産食料だけで賄うと、私たちは味噌汁二日に一杯、納豆三日で二パック、牛乳六日に一瓶、玉子七日に一個、肉は九日に一回しか喰べられない。そればかりではない。中国産餃子事件でも明らかのように、販売元・発売元は一流商社や生協であっても、加工食品の大部分は外国生産・製造である。いずれでもレンジでチンと鳴ればすぐに喰べられる。主婦たちは鮮度や安全を考えてはいても、どうしても安いほうへ手を伸ばしてしまうのだろう。
世界最大の食料輸入量は約四〇〇億ドル、邦貨約四兆四千億円。輸入食品を水に換算すると六四〇億トン。これは日本の水田などの灌漑用水五九〇億トンをはるかに上回る。日本は世界最大の水輸入国なのである。
私たちが入浴する時に使う水量は一八〇〜二〇〇リットル、ドラム缶一本分。しかし牛丼(並)一杯に使う水の量は一、八八七リットル、何んとお風呂の十杯半分も使う。ハンバーグでは十杯分だ。牛肉・豚肉・鶏肉各一キログラムを生産するに必要な水の量は、それぞれ二〇トン、六トン、四・五トンである。
WHO・ユニセフ報告二〇〇五によれば、安全な飲料水を飲めない人口一一億人(世界人口の一八%)、衛生施設(トイレ)を利用できない人口二六億人(四二%)、このために死亡する五才以下の幼児二〇秒に一人(一八〇万人)、これに飢餓と栄養失調による死をプラスすると五秒に一人(一日一七、二八〇人)もの幼児が尊い生命を落としている。
ワーキングプアーや派遣社員が問題視され、拡大する格差の是正が叫ばれている一方で、丸の内・六本木・青山には海外高級ブランドのショウウインドウが軒を連ね、毎年一、六〇〇万人もの人々が海外旅行に出かけ、最近では新幹線のグリーン車も若者たちで占められる。
私たちは飽食の時代にどっぷりと浸かり、大量消費・大量生産・大量廃棄の暮らしに何んらの違和感なく生活している。住居ですら〇〇〇丁目と道路で隔てられ、“向こう三軒両隣り”という連帯感もなくなってしまっている。
都会と田舎、中央と地方。過疎地は更に過疎となり、額に汗して働く人たちは年々少なくなり、一億総ホワイトカラー志向である。都市と農山漁村は対立する関係ではない。農山漁村は安全で安心で新鮮な野菜や魚介類を提供し、貯水ダム・発電ダム・原子力発電・山崩れ防災など、危険と隣り合わせで生きながら都市に住む人々に豊かさを届けている。
しかし現実には格差は拡大するばかり。富の偏在と拡大する格差を是正してゆくことは、政治の大きな役目である。ところが最近の政官業の腐敗、堕落、無節操は全く情けない。明治以来の中央集権・官僚統治機構は錆びつき、制度疲労の極に達している。現在の官僚統治政治は、国民の多様なニーズに機動的に的確に対処できなくなっている。これまでの官僚統治から脱却し、国民主権・地域主権の政治へと変えて行く必要に迫られている。
私は今、究極の地方分権としての道州制の推進のため、国と地方の役割分担を決める委員長を務めている。
また都市と農山漁村の共生対流調査会長として、今年度から小学五年生一二〇万人全員を交流させるプロジェクトを実現した。予算総枠で四〇〇億円余、既に全国二〇〇校近い小学校が認定されている。
日本は山紫水明の国と言われて来たが、今や山は荒れ、林業は廃れ、先の岩手・宮城地震でも判る通り、真っ先に必要なのは山村でも水であり、処理を迫られているのも上下水道である。今から手を打たないと日本は深刻な水問題に直面する。
ロンドンの上水道は外資に買収されている。日本の水関連企業も外資に買収されている。TVでおなじみの水関係大企業の中にも三〇%から四〇%の株を外資に持たれている。下手すると私たちはロンドン市民のように“外資の水道”を利用することになりかねない。
そこで水の安全保障研究会の会長代理として、先のアフリカ・東京会議、洞爺湖サミットの議長としての福田首相の発言の一部「水と緑と農業」に係る草稿を提出したばかり。それは骨太方針二〇〇九にも盛り込まれた。
世界最大の水輸入国・エネルギー消費国として暮らす私たちは、五秒に一人が飢えと水不足で死亡する世界もあることを、たまには思い起こしてみようではないか。私たちは今、ライフスタイルを、根本から変えることを迫られているのではないか。
(2008・9・1)
自由民主党
衆議院議員
遠 藤 武 彦
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